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波を描く

旅と絵と波乗りのこと

Tibetan Thangka 

Picture 005
チベット仏教のお寺に描かれた素晴らしい仏画。
プロの技。


マクロードガンジに着いた初日のことである。
ここに来た最大の目的、Tibetan Thangkaを習うために、教えてくれる先生をいち早く探さなければならなかった。
街中を歩き回り、チラシというチラシは全て目を通したが、yogaやマッサージのものばかり。
Thangka artを売っている店で尋ねたが、知らないとか今はいないとかの残念な返事。
迷い込んだ小道で「Tibetan Thangka master 教えます」という看板を見つけ、意気込んでドアをノックしたが「1ヵ月後に帰るからまた来て欲しい」との家族の返事でがっかり。

どうしよう…ネパールに飛ぶか…。
いや、本場のTibetan Thangkaがチベット人から習いたい!

危うく弱気になりかけたが去年Tibetan Thangkaを習った日本人のブログを思い出した。
その先生を探そうとホテルを出たその道で、何か見たことがある顔。
何と!ブログに乗ってた先生の顔!
「Tibetan Thangkaの先生ですか?習いたいんですけど!」
私のまるで追っかけのようなその気迫にやや引きつつも、
「どうぞ、家に来てください」と快い返事。

アトリエ件住居の、まるで昭和のような隙間風ビュービューの4畳半。
風呂なしトイレなし。
恐ろしく汚い。
恐ろしすぎるので、写真は載せない(撮ってないけど)。

残念なことに、先生は1週間後にネパールに行くとのこと。
3月の中旬には帰って来るとのことだが、寒いとこ嫌だしその頃には私もネパール。
では、1週間だけ。
それまでかなり集中して教えてくれるとのことで、次の日から習うことが決まった。
今年に入ってから、初めての生徒らしい。
嬉しすぎて寒いし眠れない夜。
私が習っている7日間の間に、2人の生徒さんが来て断られる。
私は何てラッキーなんだ。

毎日7~8時間、ブッ通し。
先生の部屋は寒すぎた。
寒くて途中で固まった手を揉みながら、集中。
8時間以上は無理。
人間、寒すぎると最後は全身紫色に変色して、思考が停止。

時間がない。
粘り強く描く。
先生も意欲を持って、教えてくれる。
何回もアウトラインニング(筆を使ってアウトラインを描くこと)の練習。
ホテルでも練習。

キャンパスを貼って、いよいよ本番。
以下、順を追って経過を載せます。




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描くのは、比較的簡単なブッタ。
お釈迦様。
なるべくシンプルに描けるように設定する。
下書き。
この状態になるまでに、3日かかる。

Picture 001
本当は背景から描くのだが、どこまで描けるか分からないので、まずは人物。
一箇所を塗るのに、3時間以上かかる。

Picture 002
背景の空を何回も重ね塗り。
ほぼ一日かかる。

Picture 003
雲に色が入り、本物の金粉をブッタの全身に載せていく。
何回も何回も乾かして塗りなおす。
後はアウトラインニング。
練習の本番。
これが難しかった!

Picture 004
完成の画。
職人の技にはほど遠いが、満足である。

実は未完成の部分がたくさんある。
先生は出発の30分前まで教えてくれたのだが、間に合わず。
自分で完成させることを約束。
一緒に荷物を抱えて、バスステーションまで走る。

最後に先生は、にっこり笑って「カタ」を肩に掛けてくれた。
カタは、別れの席やお祝いなどで相手の肩に掛ける白い布で、相手の無事と幸運を祈るようなものだ。
「Good luck!」

こちらこそ!
ありがとう、元気でね!
私も日本のホッカイロを手渡す。
後で見るとカタにはあちこち絵の具がついていて、とても先生らしい。

この7日間何て充実!
こんなに描くことに集中したことはない。

私の英語力のなさで誤解が生じたり、お互いマイペースなのでイライラしたり。
でも毎日同じ目標に向かい、同じご飯を食べ、時にはダライ・ラマやチベットのことを熱く語り。
チベット人の生活を知り、チベット料理(先生の作るランチ、衛生面では怪しいがかなりイケた。)が大好物になり、トイレは大自然の中で猿とともに。

ありがとう、先生。
この7日間を忘れない。
この導きに感謝。




私が描いたのは、癒しのブッタ。
人々の病を治し、幸運を運ぶという。